奥田庵

楽しんで書ける場所が欲しいなって、ここにひっそりと、僕の遊び場を作った感じです。小説的体調管理。自由。

不器用でオシャレじゃない人。

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おしゃれな場所というのに相変わらず慣れない。

たまに仕事の流れで、下北沢のカフェとか、恵比寿のレストランとか、行ったときに、引く。

 

昔、知り合いが、バーテンのバイトをやっていて、いくつかカクテルなんかを作れるようになって、

「正式にうちで働いてよ」

と、言われた。

待遇もいいし、お金の面でも今までと比べて安定するし、何より、仕事にも慣れてきている。

けれど、そう言われた瞬間に、彼は引いてしまったらしい。

 

彼はバーテンをやりながら、昼間に乾物屋でお土産を売るバイトをしていた。そこで、

「疲れただろ」

と、麦茶を出されたりすると、嬉しかった。

 

この二つのバイトをしつつ、「将来」を漠然と模索していると言っていた。

特にやりたいことはないのだけれど、やりたいと思えることは探し続けていきたいというスタンスで、安い換気扇が壊れたアパートで独り暮らしをしていた。

 

彼は、何も決まってはいない状態で、バイトを昼夜こなし、どうしようもなく不安になる日も多々あったのだけれど、バーテンとして正式に働くことは選べなかった。

 

「おばちゃんの麦茶を失うのが怖かったんです」

と、彼は言った。

 

結局彼は、バーテンのバイトを辞めて、低収入でうろうろすることになっていたのだけれど、特に不満そうではなかった。

 

僕もおしゃれな場所に行って、引く自分に出会う時、その彼のことを少し思い出す。

「落ち着かない」という状態には、それなりに理由があって、けれど、誰彼に理解されようなんていちいち考えなくていい。

自分の心地よさについては、自分で最終的な責任を持ちさえすればいいんだと、彼の決断を思い出す。

 

そういう不器用さは、好き。

 

 

 

 

※noteはじめました。

https://note.com/okuda_an