奥田庵

ほぼ気晴らしです。

小石。

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理解されないことの悔しさを、どこにぶつけていいか分からない彼の横で、

僕は焦らず、言葉を探した。

 

けれど、言葉ではない気がした。

 

「……」

 

心が締め付けられるような寂しさを感じたいなんて思っていない。

どちらかと言えば、楽しいことを考えたい。

元気でいてね。とか、

勇気を出して、とか。

誰かの役に立ちたいとか。

そういったことを、

しっかりと、ちゃんと、照れもせずに言葉にしたい。

 

ああ、恥ずかしいことを言っているなっていうようなことを、

あまり怯えずに伝えられる自分になりたい。

 

けれど、言えないのは、たぶん、

その言葉は、まだ何かしらの期待を求めているようになってしまう気がするからだし、実際、相手よりも自分の在り方に気をとられているからだろう。

 

そんなことを考えてしまう自分が、やはり、まだ発せられる言葉を見つけられない。

 

だから、まあ、言わない。

 

「……」

「……」

 

彼は、小石を一つ拾って、遠くへ投げた。

僕も、小石を一つ拾って、彼よりも遠くへ投げた。

 

彼は僕の顔を見て、

「……」

また小石を拾うと、僕の投げた石より遠くへ投げた。

「……」

僕は、コンっと、舌を鳴らして、少し微笑んだ。