奥田庵

ほぼ気晴らしです。

とろけちゃう。

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俊一は、明るいことを考えたいなぁと思っていた。

例えば、

「君の笑顔に僕はとろけちゃいそうだ」

みたいなことが言えるようになれたらどんなに素敵だろうと思ったりするのだ。

 

けど、そんなことを言うと、色々とリスクを背負うような気がして言えないでいる。

その言い方は相手への侮辱だとか、もっと深刻なことがあるのだとか、軽はずみな奴だとかそんなようなことを言われそうで怖いのだ。

誰に? 誰かに。

 

だけど、俊一はその「明るいことを考えたい」という密かな決意を胸に、なんとか日常を過ごしている。

目立たず隅っこにいるけど、ささやかなりに頑張っていた。

 

今日は少し口角を上げて過ごす時間を増やしてみた。

 

ふと見た向かいの通りを歩く小学生ぐらいの少年と母親が楽しそうに話をしていた。

 

俊一は小さな声で、

「とろけちゃう……」

と、呟いた。

 

少しずつ。更新している。

そんな切実があってもいい。