奥田庵

小説だったり、映画だったり。犬だったり。

心地よさについて。

 

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僕が疎外感を必要としていた時期があったということなのだろう。

途中で剥がしたカサブタのように、不愉快さを含みながらも、そういうものだと受け入れていた疎外感は、いつのまにか消えていた。

 

それはそれで居心地が悪い。

どこかで不機嫌の言い訳を求めている。

僕は疎外されていなくなてはならなかったのだ。

孤独であること。

 

「きっと心地良かったんだよ」

と、優しい声で彼女が言った。

 

誰にも受け入れられないという自由。

関係性を排除した世界での緊張を遠ざける卑屈。

 

「疎外感が必要ない世界ってどんななの?」

 

僕は彼女の問いかけに、少しだけ微笑み、何も答えることが出来なかった。

思い出はあるのか?

僕の心を温めるような、「疎外感」の思い出。

 

知らない駅で降りて、知らない街を歩き、寂れたビルの地下にある簡易的なイートインで、壁を眺めながらソフトクリームを舐める老婆を少し離れた場所から眺め、ホッとする。

 

「寂しさってさ魅力的なんだ」

 

僕は独り言を呟き、疎外感について好意的に考えていた。

 

 

 

 

 

くらげ

くらげ