小説kinema

小説だったり、映画だったりの作業スペース。散らかってます。

雪解け。

雪が解けてきて歩きやすい。
ということで調子に乗っていつもよりツカツカ歩く。
田舎道はほとんど人とすれ違わない。出会って三、四人。
会わないときにはゼロ。
視界も広く、随分離れていても誰かが歩いてくるのが分かるので、
逆に回避できたり。
でも、まー、最近はすれ違いざまの挨拶とか、そういったのも良いかと、
良い意味で厚かましくなってきた。
で、視界の先に、横の道から歩いてくるおばちゃんが見える。
このままいけば、あのおばちゃんとT字路ですれ違うなと思いつつ、
強気で歩を進める。
で、すれ違う。
「おはようございます」
「おはようございます」
よし、大人っぽい挨拶をしたぞと。
挨拶後、そのおばちゃんの進行方向が、僕と同じと気づく。
しまった、スピードを速めないと並んで歩くことになる。
ということで、歩を速く。が、何気におばちゃんも速い。
が、追いつかれてたまるかと、気を緩めず進む。そして十字路で、
このままこっちの道へ出れば遠回りになるが、きっとおばちゃんと進路が変わるだろう。
ゆっくり歩こうと、逃げる。
少し距離を開け、ふーっと後ろを向くと、おばちゃん、こっちに向かって歩いてくる。なにっ!
ということで、速足で歩を進める。疲れた。「のどかな散歩よ」と頭で嘆く。
一回りして、また遠回りを選び、こっちなら来ないだろうと、ゆっくり歩く。
よしよし。
で、遠回り末の一周して登り道、進行方向に、さっきのおばちゃんが下りてくるのが見える。
なんと! 気まずい。
さて、さっき挨拶したし、次はなんと声をかければ……。
教えてくれ田舎のルール。しょうがないので、初めて会ったていで、
「おはようございます」と大人な挨拶。するとおばちゃん、
「足速いねー」と、世間話で切り替えし。ゲゲ。
「ハハハハ、イヤー」と苦笑いで、スタスタすれ違う。
色々恥ずかしい。

ルールなどないのだ。自信を持ちなさい。自分になれ。
おばちゃんの背中はそう語っているように見えた。

むむ……。