小説kinema

小説だったり、映画だったりの作業スペース。散らかってます。

犬。

犬が飼いたい。けど、ペット禁止。
うちの嫁は募る思いをネットで犬の動画を眺め癒す日々。
ということで、近くに犬がいて、眺められるところは無いかと探すと、
ドッグカフェがあるとのこと。犬を飼ってる人も、飼ってなくても来店OK。
看板犬もいますよと。
ほほう。
一度、小金井に住んでいるときも、似たようなブームになり、ドッグカフェ手前まで
二人で行ったのだけれど、散歩帰りに常連さんが集う場所なのだと考えると、
入りづらい。誰かが寄ってきてニコニコと話しかけられるのも苦手。
そうなったらと恐ろしい。
「どうしよう、入る?」
「入ろうか?」
「入っちゃうの?」
「いや、やめよう……」
「うん……」
そんな感じて、トボトボ引き返した過去がある。
しかしまー、もう、良いじゃないかと(何がだ)
夫婦でそのドックカフェへと向かった。
なんだか、お客さんの犬を囲んでみんなが和気あいあいのところ、夫婦二人で、
隅の席へそそそそーっと。
飲み物を頼み、床にぺたんと寝ている看板犬を眺め、
「撫でてもいいですか?」と恐る恐る。
「どうぞー」
おおー、とナデナデ。無抵抗で、ほら撫でろと言わんばかりの静かな大型犬。
癒されていく。
そのうち、飲み物が来たので席から、じっと観察。
いまこっち見た。おっと、他のお客さんが。触りたい……。
色々な気持ちでゆっくりアイスティーを飲む。
ジッと粘り、
いつしか、店内の客はうちらだけになり、店員さんがその看板犬の紐をとり、
放し飼いに。
つかつかつか、犬がうちらの席へきてくれる。
うちらも澄ました顔をしながら、心で大はしゃぎで「おー、来たのか―」
なんて言いながら、ナデナデ。
去年、猫カフェに夫婦で行ったときには、つれない猫たちを追いかけまわすも、
全く相手にされなかった過去。
ここの犬の寛大さよ。
「犬飼いたいけど、飼えないんですよ」
また来てもいいですか? の同義語で店員さんへ話しかける。
「ぜひぜひ、うちへまた来てくださいー。」
澄ました顔で、ホッとする。

犬か……。