小説kinema

小説だったり、映画だったりの作業スペース。散らかってます。

災難。

喫茶店で嫁とココアを飲んでると、壁側の席で、バカァンと、何かがぶつかった音がした。
視線を移すと、上で回っていた換気扇の蓋が外れ、下に落ちたみたいで、すぐ真下にいたおばちゃんが大声で
「いやだ、危ない! なんなのっ! なになにっ!」と言っている。
換気扇の蓋は落下し、下の椅子に当たり、跳ね返った蓋がおばちゃんの頬をかすめたようだ。
「ここにあたったのよ! これ、どうしてくれるのよっ!」
と全部説明してくれるので、だいたいの状況がすぐに分かった。
店員がやってきて謝る。すみませんでした、申し訳ありませんと謝る。
「すみませんじゃ、すまないわよね、これどうしてくれんのよっ!」
女性店員から、男性店員へと代わり、謝りながら
「原因を調べますので、席の移動をしていただければと、勿論今回の御代は結構ですし、何かお持ちいたしましょうか?」
するとおばちゃん「何それだけ? それで済ますつもり? 当たった人によっては謝れば済むって話じゃないでしょ?」
突然、被害にあってしまったおばちゃんは、まあ、災難だったなと思う。
けど、特に怪我した様子もなく、無事っちゃ無事なので、
いちゃもんつけられているような形になっている店員が不憫って雰囲気が店の中に流れ出した。
当然、その店員が悪いわけでもなく。こういった場合、なんて答えればいいのか興味が湧いて聞き耳を立ててしまう。
店はチェーン店だし、ある程度のマニュアルは決まっているのだろう。どこかへ報告する義務もあるだろうし、安易に発言してはいけない文言もあると思う。
施工業者のミスってことで、そっちが責任取る場合もあるだろう。
慌てた状態で、口約束した日には、相手によってはとんでもないことにもなる。

けど、その対応している店員さんは早口でまくしたてられオロオロ。
「病院へ行くのでしたら、診断書を持ってきていただければそれなりの対応を……」
なんだか、物騒な展開。
結局、おばちゃんは移動を拒み、苦笑いしながら「もう、いいです」と言って、目の前のおばちゃんと世間話を再開した。

様子をうかがっているのもなんだと思って、店を出た。
自分ならただ「あ、大丈夫です」とか言っちゃうよなぁ。
でも、あれぐらい気持ちをぶつけちゃうのも分かるような気もするし。

分からないなぁー。