小説kinema

小説だったり、映画だったりの作業スペース。散らかってます。

風船。




タイヤ交換と点検で、車の販売店へ。
で、一時間強の待ち。
エンジンオイルの営業の人がフロアで「理科の実験やります。見てってください」
なんて言いながら、人を集めていて、実演の場所が、うちら夫婦が座っていた場所に近かったので、なんとなく見る流れに。
七人ぐらいのギャラリーの前で、エンジンの仕組みや、なんやらを早口で、質問を交えながら話す営業さん。

で、とたんに飽きる。
が、かといって持ってきた文庫本に目を移してしまうほど、あからさまな態度をとれない。むむむ。
しかたないので、顔を営業さんの方に向けながら、遠くを見つめ、終わるのを待つ。
が、終わらない。
何を話しているかなんか、全然頭に入らない。
なぜ、この営業さんの話が頭に入ってこないのか考えはじめ、そもそも、興味のないことには、昔からこなんだったなと振り返る。
学生時代を思い出し、勉強の出来なかった自分に自己嫌悪。
授業が頭に入らなかった時と同じ状況だ。延々、細かいことを気にして、そこから妄想を広げる。
あー。
この営業さんは、地方から来たとか言ってたなとか、週末出張で、平日はどうしているんだろうとか、なんとなく、ビジネスホテルで缶ビール飲んでる姿を思い浮かべたり。初めての営業実演は何年前なのかとか……無駄だ。興味ないし。あ、風船が一つ天井に……。
何だこの時間は。

が、横で聞いていた嫁は意味を理解しているらしく「へー」とか「うんうん」とか言ってる。

なるほど、きっと僕が悪いんだ。
でも、そんな中、無表情で「ぜってぇー変わらねぇぞ」と意味のない誓いをしている自分。
あー、人間だもの。