小説kinema

奥田徹の小説だったり、映画だったりの作業スペース。散らかってます。

孤独死させません

 老後を一人で過ごす老人の数が急増した。
 そして孤独死を恐れるあまり、暴走する老人も増え社会問題になっていた。
「罪を犯せば手厚い介護が受けられる」
 まことしやかに、ささやかれた噂。
 体が不自由で、身動きが出来ない老人。世間の介護費用は年々と高くなり物価が上がり、減額された年金ではまともな生活も出来ない世の中。
 子供も面倒見たがらない。独り身。寂しさ。
 自殺率も上がった。自殺する場合、発見されないのは寂しいと他人の家に上がり込んで自殺する老人まで現れた。

 そんな中、ネット上で話題になっていたのが犯罪介護。
 投獄された状態で寝たきりになってしまえば、そこで介護が受けられ、塀の外よりよっぽど快適な毎日が送れるという噂。
 それも、死刑もしくは無期懲役になってしまった方が牢屋から出なくて済むと年々老人の犯罪率は加速した。
 お金が無いと言って家族が罪を犯し、その犯行現場に老人を置き去りにするという事件まで起き始めた。

 社会の末期。

 それを阻止すべく、政府の裏組織で対策がなされた。
 そして裏操作しながら何気に世間に浸透していったのがロボットだった。
 それも可愛らしい人型の小型ロボット。大きさは三十センチほどで、会話が出来、インターネットに繋がっている。そして何よりも注目を浴びた機能が、死亡確認機能。
 ロボットには人感知機能と、生命判断装置が内蔵され、ロボットの持ち主が生命の危機、もしくは死亡した場合、登録先の病院へ連絡してくれるという機能。
「これで孤独死の心配はありません」
 沢山の広告が世間にばら撒かれ、広がり、ロボットはあっという間に売り切れた。
 家から出ない老人が増え、ロボットも様々なバージョンが売り出される。
 老人に限らず、子供も大人も、男も女も関係なしにロボットは売れた。

 しかしロボットの普及で、死亡確認機能によって、政府による銀行貯金差し押さえが問題視された。
 死亡が確認された時点で、その人の預貯金は国によって差し押さえられるのだけれども、そのスピードがロボットの普及により急速に速まっていると。
 デモが起き、政府への不審、ロボット不買運動が起き、管理社会の末期だと大騒ぎになった。
 そこで、ロボットに「死亡確認後、二日間放置機能」が裏取引で販売されるようになった。
 他にも、「こっそり親族のロボへ死亡間際転送お知らせ機能」や、「死亡確認凍結機能」などが裏ルートで販売され、こっそりと一人暮らしの老いた親のロボットへ仕込む親族が増えた。

 その機能を探す装置が発売され、仕込まれたことに気づき、心を痛める老人も増えた。
 しかし、ロボットの愛らしさと、会話機能の性能があまりに良すぎるので、老人たちはロボットへの愛情を失うことはなかった。
 いつしか、悲しみと愛情が過ぎて、こんなものまで裏ルートで販売されるようになる。
「心中機能」
 ロボットが起爆装置になり、一緒に爆破されるというもの。
孤独死ではない、お前と一緒ならば……」
 そう叫び、自らの子供たちの家へ行き、至る所で、心中自爆する老人が社会問題になっていった。

 そしてまた「心中機能」を細工する装置が発売され……。