小説kinema

小説だったり、映画だったりの作業スペース。散らかってます。

毎年と春の訪れ。





四月も半ばになり、悩まされてた花粉が収まって来た。
鼻炎薬で鼻水は抑えることはできるのだけれど、
この一か月の間、頭が朦朧として目の奥がジンジンと痛み、
喉は唾を飲み込むのさえ苦痛だった。
バファリンを飲み、風邪薬を飲み、出来るだけ睡眠をとるように心がけたりと、
様々な対処を試みたのだけれど、改善どころか体調はますます酷くなり、
何か別の病気なのかもしれないと途方に暮れ、それに伴う
長期にわたる思考停止状態は僕の気分をどん底まで貶めた。

それを毎年繰り返している。

いい加減慣れればいいのに、毎回深刻に悩む。
「どうしよう何も考えられない」と。
もしかしたらこの先ずっとかもと。

そして体調が整い、気分が乗ってきた時ふと思い出す。
「昨年もそんなだったな」と。

ジャケットを一枚いつもより少なめで歩く。
体が軽くなった気がする。
日差しが柔らかく暖かい。
風は心地良く、空気が澄んでいる。

中学校の横の畑道を歩きながら、体調の良さに僕は
未来への期待を重ねる。
「色々なことが出来るような気がする」

一つの家の前で小学生が二人何かを待っていた。
女の子と男の子で、女の子の方がお姉ちゃんなのだろうか、少し背が高い。
二人は無言なのだけれど、とくに退屈そうでもなく、
足を延ばし、空をポカンと眺めていた。

ふと見上げると、
木の枝から所々、芽吹きが始まり、生まれたてのような緑が鮮やかで、
僕はまた思う。

「色々なことが出来るような気がする」
春の訪れ。