九月の終わり。
一週間前まであんなに暑かったのが、今日は肌寒さすら感じる。
歩道の枯れ葉が、街の色合いに変化を与えている。歩くたびに「カシャリ」と耳に残る枯れ葉の音。風と移動する音。
僕は、ひたすら汗を拭い営業を回った猛暑日の影響で、自律神経が完全に支障をきたしていた。しんどい。
「危ない!」
誰かが遠くで叫んでいた気がしたが、とくに気にせず歩いていると、後頭部に何かが突進し、突き抜けていくような衝撃を感じた。
見ると突進してきたのは秋だった。
秋は僕にぶつかったと思うと、軽く会釈をし、そしていつのまにか、通り過ぎ、見えなくなった。
一瞬寒気がした。
気がつけば、冬だった。
「早いな、あっという間だ……」
僕は少しだけ覚悟を決め、また歩き出した。