奥田庵

小説だったり、映画だったり。犬だったり。

ルチェルナのこと 第七章

七 夢の中の記憶とは不思議なもので、僕はまた森の前で股間に布を巻いただけのふんどし姿で虫取り網を持ち立たされていると分かると、「ああ、そうか」と、その世界にいることを受け入れていた。 そして月がてっぺんに登る頃、また小人が現れた。 「どうだい…

ルチェルナのこと 第六章・その②

食事を終えて僕は昔使っていた二階の部屋へ行った。部屋の中は整理され、机と椅子、空っぽの本棚に畳の上には母が敷いてくれた布団。 部屋は整理されてはいるが所々に昔の僕の残骸のようなものが転がっている。昔ポスターが貼ってあった壁の周りに日焼け跡が…

ルチェルナのこと 第六章・その①

六 父さんの声には特に深刻な様子もなく、どちらかと言えばあっけらかんとしていて、なぜか少し被害者意識が滲んでいた。 「お前今、忙しいの?」 「え、父さん? ちょっ、ちょっと今、どこにいるの?」 「いや、お前の家に来たんだけどさ。お前はどこにいる…

ルチェルナのこと 第五章・その②

数枚のシャツとパンツをショルダーバックへ押し込み、部屋を出た。 京王線に乗り、新宿まで出て、特急に乗り換えて松本まで行く。 夕刻の京王線は、上りに関しては比較的余裕もあり、すぐに座ることができた。 実家の長野に辿り着くまで、およそ三時間。 特…

ルチェルナのこと 第五章・その①

五 行方不明? しばらく言葉の意味が分からなかった。 父さんが行方不明? どういうこと? いくらかの混乱のあと、母さんへ状況を聞くことをやっとのことで思いつき、電話をかけた。 「もしもしっ!」 母さんの声は明らかに動揺していた。すぐに電話に出て、…

ルチェルナのこと 第四章・その②

その日の夜、突然瑞希が部屋に訪ねてきた。会うのはあの花火大会以来だった。 ノックの後、「瑞希だよ」と声がして、慌ててドアを開けた。瑞希がいる。僕は息をのみ、静かに興奮した。目の前にいる。唐突に、実際に、紛れもなく瑞希がいる。 「久しぶり。元…

ルチェルナのこと 第四章・その①

四 花火大会から一ヶ月が過ぎても、瑞希は僕の前に現れなかった。 その間に二度ほど瑞希の携帯に連絡を入れてみたのだけど、いずれも留守番電話になった。瑞希に会っていないと、誰にも名前を呼ばれていないような気がする。僕は瑞希によって辛うじて僕の存…

ルチェルナのこと 第三章・その②

バイトはいつも簡単な朝礼の後、品出しをしている途中で、開店時間になる。レジ班が自分に回ってくるまで、この品出し作業と、在庫確認、発注作業が続く。 品出しは、コーナーごとに充填する商品がケースに入れられていて、それらを黙々と陳列棚に並べていく…

ルチェルナのこと 第三章・その①

三 水曜から日曜までホームセンターで働き、月曜日か火曜日に職安へ行く。 ホームセンターの給料は高くはなかったけど、特に不満はなかった。食事ができて、家賃が払えて、光熱費も払える。余計なものは買えなかったけれど、特にほしいものもなかった。 職安…

ルチェルナのこと 第二章・その②

僕達は一本道を抜けた車道沿いのガードレールに座り、自動販売機で買ったジュースを飲んだ。なぜ走っていたのか? なぜ泣いていたのか? 色々訊きたいことはあったのだけれど、黙っていた。 花火は終わったらしく、辺りは静けさを取り戻していた。 何台かの…

ルチェルナのこと 第二章・その①

二 僕はデザインの専門学校時代からホームセンターでバイトをしていた。商品の品出し、発注、接客が主な仕事内容。気がつけば卒業し、就職もせず、バイトを始めてから六年が過ぎていた。 瑞希が入ってきたのは、僕がバイトを始めて二年目ぐらいのときだった…

ルチェルナのこと 第一章・その②

◆ その夢は唐突でとても不自然だった。だけど、夢の中の出来事と言うのはなんであれいつもその世界の中に現実味を漂わせる。 僕は股間に布を巻いて、ふんどしを締めているような姿で、ほぼ裸の格好。虫取り網を持って立っていた。 夜で、月がてっぺんに浮か…

ルチェルナのこと 第一章・その①

一 瑞希が気まぐれで行動しているわけではないのは分かった。 彼女は熱中し始めると、途端に周りが見えなくなり、振り回す。今までだって、僕はずいぶんと付き合ってきたと思う。あるときは菓子職人になりたいと、書店で片っ端から菓子作りの本を買いあさり…

舞台「海辺のカフカ」 赤坂ACTシアター

舞台「海辺のカフカ」を観に、奥さんと赤坂へ。 舞台を眺めている最中なんだか、ずっと、 最近の僕の中で起きている問題について、一緒に考えてもらっている ような気分になってくる。 「そうだよな、やっぱり」 「うん、それは分かる」 「やっぱり、そこは…

とうとう

頼んだのが全て届いた。 ひたすら見続けています。 ただただ楽しい。 スケバン刑事III 少女忍法帖伝奇(1) [DVD] 出版社/メーカー: 東映ビデオ 発売日: 2004/08/06 メディア: DVD クリック: 4回 この商品を含むブログ (8件) を見る 妹と猫 作者: 奥田徹 出版…

そして、

そして、今日は Vol.3とVol.4。 なぜか遅いVol.1最初から観たいのに。 ドキドキ。 足音にロック 作者: 奥田徹 出版社/メーカー: 奥田徹 発売日: 2017/06/07 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る

まず、

まず、 Vol.2が届いた。 ドキドキ。 不器用なアナログレコードの挑戦 作者: 奥田徹 出版社/メーカー: 奥田徹 発売日: 2018/06/25 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る

半端もんの生き方があるのさ。

気が付くと、食べている。 会社の飲み会でもお酒を飲んで、ピザを食べて。 で、次の日反省したのです。 食べてるじゃんと。(二日酔いともいう) ああいう場合は良いのだって決めたはいいのだけれど、 「こういう場合も」「今日に限っては」「まあ、頑張ったし…

オタクになれなかったんだ。

アマゾンプライムで、「ヲタクに恋は難しい」を四話ぐらいまで見る。 ホンワカと楽しい。 ヲタクに恋は難しい: 1 (comic POOL) 作者: ふじた 出版社/メーカー: 一迅社 発売日: 2015/04/30 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (2件) を見る 成海と宏嵩…

どういう状態?

公園で休憩しようっていくと、ベンチに、 制服を着た高校生のカップル。 女子の背中に後ろからムギュっと抱き着いたまま固まっている男子。 女子は、ポカンと座っている。 とりあえず、邪魔はやめておこうと、別のベンチを探す。 しかしまあ、どういった状態…

「とか」の意義。

いや、悲惨な事件があって、それをネットで見れちゃったり、見ちゃったりしたときに、思うモヤモヤ。 実際に起きていることが、あまりにも悲惨すぎると、その「悲惨記憶」の断片のようなストックがドラマだったり、漫画だったりするので、「現実感」ってもの…

あだち充って……。

kindleでなんか読もうって、通勤電車で検索。 で、これを購入 ↓ SHORT GAME ?あだち充が短編で紡ぐ高校野球? (ビッグコミックススペシャル) 作者: あだち充 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2018/07/13 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 久々…

「よし」までの健気さ。

ペットホテルにライト(犬)を預けると、 「食欲がないんですよね」 って言われていた。 うちでは何でもパクパク食べるのにどういうことなのだろうって。 「おやつをあげると、ポカンと見つめたまま、食べようとしない」って。 と、聞いて、もしかして。 おや…

まあ、からあげクンでも。

昨日今日と奥さんが、お茶のイベントの付き添いで家を出ていて、ライト(犬)もペットホテルへ。 ということで、誰もいない家への帰り道。 なんとなくゆっくり歩く。 何かしたいわけでもないけれど、外でなんか食べたり、立ち読みしたりとか、そういったことを…

エンジン。

一時間。 まず、一時間、今の長編に時間を使うことを考えようと思いつつ、 たぶん、これだと「エンジン」がかかっている状態を維持はできないのだろうってことでして。 誰だかが、たぶん、アンパンマンのやなせたかしだったか、「エンジン」をふかせた状態な…

優しくして。

びっくりするぐらい、やる気がない。 寝ていたい。ダラダラしていたい。食ってしまいたい。 ということで、本能の赴くまま、そうしてみたら。 何か言い訳をしたい気分になってきましたよ。 ヤダヤダ。 やる気っていうのは「やり始めないと出ない」っていうこ…

懐かしき「決められたレール」

受験戦争って、そういや言われてたなぁなんて話をして。 「これからは、いい大学に入り、いい会社に入らなければ落ちこぼれとして生きていかないといけない。だから勉強をしないといけない」 なんて言ってたなぁ。世の中の雰囲気で。って。 で、「決められた…

似ているようで違う世界。

最近「記憶がない」ってことがよくある。 単純に作業量が多すぎて、一つ一つのことを覚えていられないっていうことのようなのだけど、たまに「記憶違い」みたいなことも出てきて、 これお願いしていたと思っていたら、そんな証拠がなかったり、 あと、どうも…

寝落ち。

昨日はまた寝落ち。 そんなに疲れているのかなぁって思うのですが、たぶん、食べたものなんだろうなぁって。 昼休憩。 ローソンの「Lチキ赤ダレ」これ美味しい。おすすめ。 だけど、前にもこれ美味しいってブログですすめたら、いつのまにか無くなっていたの…

フカフカ。

ちっちゃかった。 大きくなっていき。 ベッドからはみ出すように。 ゴロン。 そして今日。 妹と猫 作者: 奥田徹 出版社/メーカー: 奥田徹 発売日: 2018/09/11 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る