小説kinema

小説だったり、映画だったりの作業スペース。散らかってます。

掌編小説

耳かき

アキが、家で耳かきをしながらふと思いついた。 この耳かきを隠してみよう。 深い意味は無く、何となくそうしてみたくなったのだ。 旦那のハルは耳かきが好きだ。好きだけどいつも何処かに置き忘れる。「耳かき知らない?」 と月に数回聞かれる。「知らない…

ウィスキーと赤ん坊

息子が生まれてから、義父は毎日うちへやって来くるようになった。 「ちょっとそこへ用事があったから」 などと、いちいち理由を付けてはウィスキーを飲み、赤ちゃんの横に座り、三十分ばかり眺めて帰っていく。 「たまたま貰ったから」 「多めに買っちゃっ…

東京三ヶ月

一人暮らしを始めて三ヶ月が過ぎた頃、僕は好きな場所を一つ見つけようと思った。 田舎の静岡では、よく自転車に乗って幾つかの本屋で立ち読みをした後、海沿いの道を通り、家へ帰った。 殆ど人がいない海岸。 海を囲む様に海岸から一定の距離を置き、防波堤…

あるコンビニバイトの夢

子供の頃の夢はなんだったっけと頭を過ぎり、横断歩道で立ち止まり、信号が変わるのを待った。 信号はなかなか変わらないまま、歩いてきた何人かが僕の周りで立ち止まった。 みんな立ち止まりる。夢なんか叶わない。そして考えるのを止めた。 僕は空を眺め、…