奥田庵

楽しんで書ける場所が欲しいなって、ここにひっそりと、僕の遊び場を作った感じです。小説的体調管理。自由。

ミニ小説

綺麗な。

ああ、あれは綺麗な出来事だったんだなぁ。 と、後で分かることがある。 友達が朝までカラオケに付き合ってくれたこと。 父親が訪ねてきたこと。 下校時間の沈黙。 勧められた映画。 あてもないドライブ。 ファミレスで一方的に話したことを聞いてもらったこ…

雨宿り。

小雨が降っている。 公園で雨宿りしている中年のおじさん。 腹が出ている。 髪は無く、スキンヘッド。 緑色のパンツ。黄色いシャツ。サスペンダー。 タバコ吸ってる。 で、鼻から凄い勢いで煙が出ている。 を、遠くから眺める。 鼻から出ている煙が風に乗り…

寝起き。

深い眠り。 揺り動かされて、 「あぁぁん……んんんぅぅ」 うっすら、寝ぼけ眼のまま、 「へ? ん?」 なんか起こされて、抱えられているような……。 でも、眠い。 記憶は飛び飛び……。 一瞬、凄く眩しい! 「へ?」 と、驚くが、真っ暗? 「あ……んぅ」 眠い。 …

未更新。

家出した娘。 何も言わずに出てきた。 電車に乗りながら、スマホでネットサーフィン。 なんとなく、母親のことが気になり検索。 すると、十年以上更新が止まっている母親と同じ名前の人が書いているブログを発見。 同姓同名? まさか。と思いつつ、 なんとな…

似た空。

高台にある公園。 夕方。 誰もいない。 「結局、あの人が何を考えているかなんか分からないよなぁ」 そんなことを呟き、考えながら、今日の終わりを慰めた。 大人になれば、「大人」になっていると思った。 でも、実際の大人は、ただの経過でしかなく、 いつ…

嫌いな人。

その嫌いな人と二人きりの時間。 「なあ、俺は曲がったことが嫌いなんだよ」 「はあ」 「あいつが、どうしても正しいとは思えないんだよ」 「ええ」 「だったらさ、こっちだって口調は強くなるしよ。ちゃんとしてくれっていう思いで怒ってんだよな」 嫌いな…

口笛。

友達と過ごした帰り道。 一人で暗がりを歩きながら、今日は楽しかったなぁと思う。 肯定的な夜。 楽しいと思えることに感謝できる夜。 きっと、こういう日がこれからも沢山来るんだと思える夜。 ああ、素敵な日だなぁ。って。 そういう思いで、夜道を歩いて…

趣向。

ブゥゥゥォォォォォッグ、ブルブルブルブゥゥゥギギィィィン。 大きな音を立てて通り過ぎるバイク。 「……」 見送る。 うむ。 乗ってる方もうるさいんだろうなぁ。と思う。 じゃあ、なんで、あんなに大きな音のバイクに乗っていのだろうかと、考えたりする。 …

夕焼け。

地元を出て暮らしている。 会社もバスと電車を乗り継ぐ。 なので、アパートの近所で知り合いに会うことはない。 コンビニなんかに入って、棚を眺めていると、 「あらっ」 「ああ」 なんて言って、知り合いが偶然出会うみたいなところに遭遇するときがある。 …

静けさ。

集中する時間。 文章を書く。 けれど、僕が書いてきた今までの文章とは毛色が違う。 きっと違うんじゃないかと、頭の中であれこれと、考えていると、 「……」 ふと、静けさに気づく。 自粛期間中ということもあり、出勤者も少ない。 いつのまにか、この静かな…

マスクの世界。

右肩の痛み。 寝相が悪かったのかしら。 痛み止めを飲んでみたのだけれと、そのまま痛い。 なんだこれ。 運動不足なのかと散歩。 トコトコ歩く。 散歩している人も増えた。 増えたけれど、みんなマスクはしている。 家族五人組、小さな子供たちがはしゃいで…

見えている。

「君はこの前、亡くなったよね」 「そうよ」 「じゃあ、なんでここにいるんだよ」 「幽霊だからよ」 「いや、幽霊って言ってもさ、見えてるし」 「見えているのはあなたにだけよ」 「僕に見えてもいいの?」 「いや、私はこっそりと見守っていたかっただけな…

掘る。

穴を掘る。 「なんで掘ってるんすか?」 と、通りすがりの青年が言った。 「埋まってるからだよ」 「何が埋まってるんですか?」 「それが分かってたら掘らないだろ?」 青年は、ヤバい奴だと、感じたのか、何も言わずに歩いて行った。 まず、信頼と言うもの…

心地。

どこかでピアノの音が聴こえる。 遠く。 静かなリズム。 その心地よさ。 直接的ではなく、遠くで聴こえるピアノの音。 曇り空。 青い日。 少女の水溜りのステップ。 長靴。 それを歩きながら眺める、散歩中の犬。 車の通りは少なく。 やっと、一台だけ通り過…

ざわ。

そろそろサンダル。 半袖。 五月も後半になる。 そろそろ六月。 そういう当たり前の事実を淡々と並べて、 確認するだけで、何か凄く、ざわざわ。 もう少し並べる。 本当なら、今年オリンピックがあるはずだった。 ウィルス問題。 集まれない状態。 通勤途中…

遠回り。

雨が降った形跡はあったが、降られはしなかった。 曇り空の下歩きながら、ただただ、自分が結局どうしたいのかについて考えていた。 けれど、実際、どうしたいかなんかあるのだろうか? あるとすれば、どうしたいかと「思っていたほうがいいのではないか」と…

設定。

中卒で、家出して、幾つかバイトを転々としていたのだけれど、 結局どこにも馴染めなかった。 いとこが一人暮らしを始めたと知って、訪ねたまま転がり込み、 俺達は一緒に暮らすようになった。 いとこは生真面目なサラリーマンだったが、いつしか、辞めてし…

無視。

扉をノックされる。 なぜ、インターホンではないのかという疑問。 コンコン。 無視。 そういえばと過る。 駐車場管理で働いていた、名木田君は、口が悪く、基本的には人を信じていない。 「ろくでもない」 が口癖。 名木田君は地元を出て、一人暮らしを始め…

痛い。

左肩が痛い。 まあ、回せないとかじゃない。 どこかの角度で、たまに、ピキッと痛みが来る感じ。 ああ、衰えなのかしらと怯える。 で、左肩をかばい寝転がってたら、今度は、 背中の右側が痛くなった。 やばっと思う。 ふと、「痛みは移動する」って聞いたこ…

信じる。

その場所を絵に描くために、何日も通う。 毎日通うのだけれど、同じ場所、同じ時間でも、日々変化していく。 絵描きは、それでも、その日に感じた、その場所を描き続ける。 抽象画ではなく、リアルな景色を描く。 その画が実際に、どういう価値があるのか、 …

恥ずかしい。

恥ずかしい。 なんだか色々と「恥ずかしい」と思うのだけれど、 何が恥ずかしいのかが分からない。 何が恥ずかしいのかが分からないから、余計ずっと恥ずかしい。 ああ、恥ずかしいな。 と、思いながら、道を歩く。 恥ずかしいなと、思いながら、電車に乗り…

撫でる。

テレビ画面で、ずっとYouTube。 横になっていると、ゆっくりと犬がやってきて、僕の身体にピタッとくっつき眠り始める。 僕はゆっくり背中を撫でる。 明るかった部屋も、日が沈み、暗くなる。 そろそろ照明をつけようかなと思うのだけれど、 すやすや眠って…

おじさん。

彼女が犬の散歩で海へと行くと、おじさんがいた。 短パンで、半そでシャツで、髪が長いおじさん。 体育座りをしていた。 少し離れたところに、半裸のおじさんが立っていた。 よく見ると、おじさんは、それぞれ距離を開けて、所々に六人いた。 彼女は、このお…

蒸してる。

蒸し暑いと弱る。 そこへきてマスク。 むんむんむんむん。 妻にケーキを買って帰ろうと一駅手前で降りる。 駅ビルの食料品以外の店舗が閉まっている中、一階のケーキ店は営業中。 良かった、何を買って帰ろうかなと思ったらすべて品切れ。 焼き菓子しか残っ…

時期。

時間が経つと、気がつくことがある。 逆に言えば、今の状態も、時間が経った先で気づくことがあるということだと思う。 あの時の思いと、今の自分が、どう違うのか。 随分前のことを昨日のことのように感じられることもある。 その当時、残されたもの。写真…

呼吸。

マスク。 ずっとしていると、帰りには気持ち悪くなる。 なんでだろうと考える。 アイスコーヒーと炭酸水ばかり飲んでいるからだろうか。 今日は特茶も飲んだからだろうか。トイレも多い。 というか、鼻呼吸が多くなってるかも。 なんか、マスクの下はおちょ…

恐怖。

校庭の隅で、一人で鉄棒をしている少年。 子供の頃、僕も逆上がりをこっそりと練習した。 体育で、 「次は逆上がりをやる」 と言われて、焦った。 単純に、逆上がりが出来なかったし、出来ないことによって、指導されて、目立ってしまうことが怖かった。 既…

シャッフル。

一時間の残業。 それでも、普段よりは二時間ほど早い退社。 外へ出ると、曇り空。 iphoneをポケットから取り出し、イヤホンをつけ、プレイリストより「浅香唯」シャッフル。 「ルカ」が流れ始める。 信号が変わる。歩きながら、帰るまでに雨が降らないといい…

わかる。

七割眠っている。 うっすらと、声だけ聴こえる。 「いや、それでさ、おばあちゃんのことを考えて、プレゼントしたんだけどね、あげた瞬間、それ、あまりおばあちゃん欲しいものじゃなかったんだって分かったの私」 「あーあ」 「それで、なんか、私、自分が…

応募。

ふと、暇になると、物件情報を眺めてしまう。 ネットで便利になった世の中。 けど、回覧板はまわってくる。 数年後の町内会の組長とかが憂鬱。 それが嫌で、引っ越しとか考えてしまう。 久々に雑誌を眺めていると、懸賞の応募方法。 ネットで入力フォームに…