奥田庵

小説だったり、映画だったり。犬だったり。

2019-06-06から1日間の記事一覧

ルチェルナのこと 第一章・その②

◆ その夢は唐突でとても不自然だった。だけど、夢の中の出来事と言うのはなんであれいつもその世界の中に現実味を漂わせる。 僕は股間に布を巻いて、ふんどしを締めているような姿で、ほぼ裸の格好。虫取り網を持って立っていた。 夜で、月がてっぺんに浮か…

ルチェルナのこと 第一章・その①

一 瑞希が気まぐれで行動しているわけではないのは分かった。 彼女は熱中し始めると、途端に周りが見えなくなり、振り回す。今までだって、僕はずいぶんと付き合ってきたと思う。あるときは菓子職人になりたいと、書店で片っ端から菓子作りの本を買いあさり…