奥田庵

小説だったり、映画だったり。犬だったり。

2013-06-26から1日間の記事一覧

四日目

あの車があそこに駐車されてから四日が過ぎた。 二年前にも、他県ナンバーの車が駐車され、 一年近くそこに停まってた。 一度近づいて覗いたら、ゴミだらけの車内から、髭だらけの半裸のオジサンが奇声をあげて出て来て追いかけてきた。「こえ~!」 と、ビ…

犬だが

犬になって一年が過ぎた。 なにも犬になろうと思ってなった訳じゃなく、ある日突然犬だったのだ。 最初は戸惑った。 こんなの自分じゃないと訴えたかったがどうも「今日は様子がおかしいね」と思われるぐらいで、全く通じない。 ドッグフードを出され屈辱な…

駐車場で

田舎のコンビニの駐車場が待ち合わせ場所だった。 相手が車で来るのを僕が待つ。 話の発端は、会社の同僚の女性に僕が告白しようと、簡単な手紙を書いた事から。 手紙には、時間を作って欲しいと書き、僕の携帯番号を書き添え、彼女のデスクの本の間に挟んだ…

足音

足音が増えた気がした。 帰り道、たまに一人になる時。 自分の足音しか聞こえなくなり、ふと立ち止まる。 コツン……。「……」 足音がふと、僕の足音より後に聴こえた。 僕の足音ではなく、また別の足音がコツンと。 振り向くと誰もいない。 心地好い静寂の中。…

芸術に癒される

酷く落ち込んでいたら上司に商店街の靴屋の前の柵を見に行けと言われた。「暫く眺めてこい」 街は、芸術家に解放を掲げ華やかだった。 所々に彫刻や、鉄で出来た複雑なオブジェが辺りを囲んでいた。 その靴屋の柵も芸術家によって温もりが与えられていた。「…

やめてる

昔はここら辺一帯でよく人がいなくなったらしい。 夜中に出掛けた男が帰って来ず、その次の朝に何故かモグラの死体が畑で見つかる。そんな昔話がある。 さすがに今では聞かないが、聞かないだけで実際は起きているのかもしれない。 二年前、夜中に畑の横を歩…

耳かき

アキが、家で耳かきをしながらふと思いついた。 この耳かきを隠してみよう。 深い意味は無く、何となくそうしてみたくなったのだ。 旦那のハルは耳かきが好きだ。好きだけどいつも何処かに置き忘れる。「耳かき知らない?」 と月に数回聞かれる。「知らない…