奥田庵

楽しんで書ける場所が欲しいなって、ここにひっそりと、僕の遊び場を作った感じです。小説的体調管理。自由。

設定。

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中卒で、家出して、幾つかバイトを転々としていたのだけれど、

結局どこにも馴染めなかった。

いとこが一人暮らしを始めたと知って、訪ねたまま転がり込み、

俺達は一緒に暮らすようになった。

 

いとこは生真面目なサラリーマンだったが、いつしか、辞めてしまった。

 

「なあ、俺たち、これで良かったんだよな」

いとこがそう訊ね、俺は答える。

「どうしようもないと思ってたけれどさ、これはこれで運が良いんだ」

 

時代が違えば、まだ迷宮の中にいたのかもしれない。

俺たちは、街が見渡せる高台に行き、お互いの気持ちを正直に打ち明けた。

 

「これからだよな」

「ああ、もっともっと。未来は誰にも分からない。だけど俺たちは運がいい」

「そうだな、俺たちは運がいい」

 

そういうと、いとこがこちらに向けてるスマホを下ろした。

「いいね、カットしよ」

「なんか、キザ?」

「いいんだよ、キザ系で売ってんだから」

「『運がいい』のところに、見下ろした街の映像入れようぜ」

「いいね、キザで」

 

俺たち二人の動画チャンネルは46万人登録に達しようとしている。

50万人登録記念の時は、新曲「口笛」を発表予定だ。

 

とりあえず儲けてるから、

家出設定だけど、実家への仕送りはしている。

 

 

無視。

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扉をノックされる。

なぜ、インターホンではないのかという疑問。

 

コンコン。

 

無視。

そういえばと過る。

駐車場管理で働いていた、名木田君は、口が悪く、基本的には人を信じていない。

「ろくでもない」

が口癖。

 

名木田君は地元を出て、一人暮らしを始めたときに、基本的に、誰が訪ねてこようと、無視をしたらしい。

 

「呼んでもないのに来るもんなんか、ろくでもないんすよ」

 

という言葉が、過る。

僕は、今、ノックされている。

 

ここで、「はあい」と声を出し、在宅を知らせるべきか?

いや、名木田君を見習い、無視か。

 

ちなみに、名木田君は電話にも出ない。

「逆に、なんで電話なんか出るんすか?」

「どんな用事が入ってくるか、知らないし」

「そんなんでいいんすか? 自分の時間は、自分で守るんすよ」

 

と言って、ゲームをしていたらしい。

 

コンコン。

 

ノックだ。このまま、不在のフリをしていると、入ってきたりしないだろうか?

そうしたら、どうするか、出ていけば帰るか?

いや、キモイやつだと嫌だな。

入ってきたときのために、スマホの録画モードをすぐで来る準備をしよう。

その動画をすぐに、誰かに飛ばせるようにしよう。

SOS。のろし。ヘルプミー。

誰に送るかも大事だ。すぐに動いてくれそうな人。

近くの人か、いや、警察に連絡がいくような流れとか。

 

むむむ。

とか、考えていると、ポストにカタンと、音がして、扉の外で足音が去っていった。

 

扉についているポストに「宅配便の不在票」が入っていた。

 

なぜ、インターホンを押さない……。

いや、まあ、良いけど。

 

名木田君も、もうおっさんだろうなぁ。

どんな大人になってるんだろ。と思った。

かけたら電話出るかな。

 

「……」

 

僕は少し時間を置いてスマホを手にし、不在票に書かれた連絡先に電話をかけた。

 

 

痛い。

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左肩が痛い。

まあ、回せないとかじゃない。

どこかの角度で、たまに、ピキッと痛みが来る感じ。

 

ああ、衰えなのかしらと怯える。

 

で、左肩をかばい寝転がってたら、今度は、

背中の右側が痛くなった。

 

やばっと思う。

 

ふと、「痛みは移動する」って聞いたことあるなと、思い、

左肩を回してみると、ちょいとピキッ。

あるじゃん痛み。と。

 

けど、右背中の方が痛みは勝っている。

 

ああ、このまま、痛い、痛い、ばかり言って、動きも鈍くなって衰えていくんだ。

 

とか、思ってるとゴハンの時、

「あてっ」

 

と、舌を噛んで、軽く血がにじむ。

 

鏡で確認。

見た目はそんなだけれど、地味にジンジン。

 

あっちこっち。痛い。

ああ、衰えていくんだ。と怯える。

 

でも、怯えながらも、分かってる。

運動しろってことぐらい。

でも、したくないから。

 

寝転がりながら、

 

ああ、衰えていくんだ。

と、今日も嘆く。

 

 

信じる。

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その場所を絵に描くために、何日も通う。

毎日通うのだけれど、同じ場所、同じ時間でも、日々変化していく。

絵描きは、それでも、その日に感じた、その場所を描き続ける。

 

抽象画ではなく、リアルな景色を描く。

その画が実際に、どういう価値があるのか、

絵描きにとって、どういう意味があるのか、

描きながら、日々、過る。

 

過るのだけれど、絵描きは、「完成」が来ることを信じている。

信じているのだと信じたいと思っている。

毎日、そこへ通い、そこで描き続ける一枚の絵。

 

実際、一枚の絵を三年もかけて描く画家もいる。

それ以上の年月をかける画家もいる。

 

その行為に憧れているわけではない。

そう、自分では信じているのだけれど、実際には確信なんか持てない。

自分が画家であることすら分からなくなる。

毎日変化する景色に、それを捕らえようと、筆を乗せながら、夏場の緑は枯れ、その上に、枯れた枝を描き、青空は曇り、雨が降り、また晴れて、日が落ち、月明かりに照らされる。

 

その一枚の中に、一つの「何か」が生まれると信じる。

この行為はいったい何なのだろう。と画家は思う。

その行為に没頭することに、沢山の迷いが生じる。

それを払拭するぐらいの、興味が生まれることを信じる。

完成すると、そう信じる。

 

そうやって完成した絵が、世の中には何枚も存在している。

知られているかどうかはまた別の話。

 

 

 

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恥ずかしい。

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恥ずかしい。

なんだか色々と「恥ずかしい」と思うのだけれど、

何が恥ずかしいのかが分からない。

 

何が恥ずかしいのかが分からないから、余計ずっと恥ずかしい。

ああ、恥ずかしいな。

と、思いながら、道を歩く。

恥ずかしいなと、思いながら、電車に乗り、バスに乗り、カフェでアイスコーヒーを飲む。

 

けど、まだ、一人の時は、「恥ずかしいけど」で済む。

電話をとったり、誰かと話したり、誰かの話を聴いたり、人とすれ違ったりと、人が絡むと、さらに恥ずかしい。

 

ああ、恥ずかしい。

けど、生きなくてはならない。

たまに、恥ずかしい理由について考える。

いくらでも、「そのせい」に出来る。

立ち姿から、歩き方から、表情の作り方やら、年齢やら、息の吸い方やら、今までの生き方とか、積み重ねとか積み重なってないものやら、どんなことにも、「恥ずかしい」と思う。

 

だから、もう、しょうがない。

これはもう、恥ずかしいのだと。

どこかで開き直るしかないと思いながら、日々頑張っている。

恥ずかしい。

ああ、恥ずかしい。

 

ただジッと、身体を熱くしたり、汗が出ていたり、ああ、今しゃべってるんだなんて思いながら、かなりの時間ずっと恥ずかしい日々である。

子供から、青年になり、大人になり、恥ずかしい。

いつまでたっても恥ずかしい。

 

それが、僕の人生なのだと思うことにしよう。

しなければと。

漠然と恥ずかしいままではないかと。

 

そう、思うのも恥ずかしいけど。